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日およそ3
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時間これはある会社が調査した1日の“耳のすきま時間”(耳が空いていて何かを聴ける時間)の平均です
这是某公司调查的一天中“耳朵空闲时间”(耳朵空着可以听点什么的时间)的平均值。
ワイヤレスイヤホンやアプリの進化によって、通勤・通学などの移動中、家事や運動の合間にも音楽や本の朗読などを聴けるようになりました
由于无线耳机和应用程序的进步,人们在通勤、上学等移动途中,或在做家务、运动的间隙,也能听音乐或有声书等内容。
中には「3倍速で朗読を再生する」という人も…
音声メディアのサービスの多様化で始まった、“耳のすきま時間”の奪い合いの最前線を取材しました
随着音频媒体服务的多样化,我们采访了争夺“耳朵空闲时间”最前线的现状。
“本を読む時間がない!”
都内の医療品メーカーで働く冨山涼太さん(29)
“没有时间读书!”在东京都内一家医药品制造公司工作的冨山凉太(29岁)
学生時代は週に1冊のペースで本を読んでいましたが、仕事に家事、それに育児が忙しく、なかなか読書の時間を取れないことが悩みでした
学生时代我每周能读一本书,但现在因为工作、家务和育儿都很忙,很难抽出时间读书,这让我很苦恼。
そこで6年前から活用しているのが、書籍の朗読を聴くことができるサービス
小説からビジネス書まで数万点が配信されています
このサービスを提供している会社によると、ワイヤレスイヤホンが普及したコロナ禍前の2019年前後に大きく増え、利用者数はこの10年で35倍の300万人を超えました
据提供该服务的公司称,在无线耳机普及的新冠疫情前后,即2019年前后,用户数量大幅增加,在这十年间增长了35倍,超过了300万人。
冨山さんは、通勤やジョギング、洗い物などの家事の最中にスマートフォンでこのアプリを使っていると言います
冨山先生说,他在通勤、慢跑、做家务(如洗碗)时,会用智能手机使用这个应用程序。
朗読のスピードも自由に変えられることから3倍速で再生することも
由于朗读速度也可以自由调整,因此也可以以3倍速进行播放。
動画は2倍速で見ることもある私が試しに聴かせてもらうと、正直かろうじて聴き取れるくらいでしたが、慣れると十分理解できるそうです
有时候我会以2倍速观看视频,这次试着听了一下,老实说勉强能听懂,但听习惯了之后好像就能充分理解了。
冨山さんは直近1年間で200冊余りを聞くことができたと話します
冨山涼太さん
「何かをしながらついでにできるという部分があるので、家族の時間も作りつつ、自己研さんもできるという意味ですごく便利だと思います」
ビジネス書以外にも小説を聴くという冨山さん
富山凉太先生说:“因为有可以一边做别的事情一边完成的部分,所以我觉得非常方便,既能创造与家人的时间,也能进行自我提升。”除了商业书籍,富山先生还会听小说。
物語に集中すると、感動のあまり通勤中の電車の中で涙を流すこともあったほどだと言います
据说,他有时会因为太过专注于故事内容,而在通勤的电车上感动得流下了眼泪。
冨山涼太さん
「活字は意識しないと読めないですけど、耳で聴くときは慣れてしまえば自動的に映像がイメージできます
冨山凉太先生说:“文字如果不去注意是读不进去的,但用耳朵听的话,只要习惯了,就能自动在脑海中浮现画面。”
僕にとっては
身近で
当たり前の
存在だと
思います」
“第3の書籍”
紙、電子に続く“第3の書籍”とも言われるこのサービス
对我来说,这是一个很亲近、理所当然的存在。”被称为“第三种书籍”,继纸质和电子之后的“第三种书籍”服务。
提供している都内の会社では、より魅力的なコンテンツを増やそうとさまざまな工夫を凝らしています
在东京提供服务的公司正在通过各种创新努力,增加更有吸引力的内容。
収録の現場を訪ねると、小野不由美さんの人気ファンタジー小説「十二国記」の制作が行われていました
当我参观录制现场时,正在制作小野不由美备受欢迎的奇幻小说《十二国记》。
迫力あるセリフを読み上げていたのは、「美少女戦士セーラームーン」の水野亜美や、「ドラゴンボール超」のブルマなどで知られる声優の久川綾さん
正在朗读充满魄力台词的是以在《美少女战士水手月亮》中饰演水野亚美,以及在《龙珠超》中饰演布尔玛等角色而闻名的声优久川绫。
「十二国記」のアニメ版でも主人公の声を担当していて、配信開始に向けてファンの期待も大きいと言います
她也为《十二国记》的动画版主人公配音,据说随着上线日期的临近,粉丝们的期待也越来越高。
久川さんは音声読書のサービスで朗読を担当するのは今回が初めてで、アクセントや読み方の練習に1冊でおよそ30時間かけるほど丁寧に作り込んだということです
久川女士这是第一次在有声读物服务中担任朗读工作,据说她为了练习重音和朗读方式,每本书大约花费了30小时,非常用心地进行制作。
声優 久川綾さん
「文字を見ない人に届けるにはどうしたらいいかということで、自分が情景を思い浮かべながら丁寧にゆっくりとしゃべりました
声优久川绫说:“为了让那些不看文字的人也能理解,我一边在脑海中浮现出情景,一边细致而缓慢地说话。”
活字が
好きで
作品を
聴いた
方は
音声の
世界を
楽しめるかもしれませんし、
音声で
初めて作品を
知った
方が
小説を
読んでみるといった、
いろいろな
楽しみ方があると
思います」
ほかにも、ユーザーの興味を引くためのさまざまな工夫が始まっています
喜欢印刷文字的人如果聆听了作品,或许能享受到音频的世界;而那些通过音频首次了解作品的人,也可以尝试阅读小说……我认为有各种各样的享受方式。此外,还开始出现了各种各样吸引用户兴趣的创新举措。
例えば去年の「本屋大賞」に選ばれた、宮島未奈さんの小説「成瀬は天下を取りにいく」
例如,去年获得“书店大奖”的宫岛未奈的小说《成濑要称霸天下》。
舞台は大津市ですが、作中に登場する祭りの音頭は地元の団体から実際の音源を借りたほか、実在するスーパーマーケットのBGMも取り寄せて使用されています
舞台设定在大津市,作品中出现的祭典音头不仅借用了当地团体的真实音源,还调取并使用了实际存在的超市背景音乐。
ラジオドラマさながらのこだわりで、中には半年かけて制作する作品もあると言います
据说有些作品像广播剧一样精益求精,甚至花费半年时间来制作。
オトバンク 制作本部 礒嵜孝太さん
「文字に音声をつけるということで、ユーザーに対しても立体的なアプローチというか、音声を流すだけでその場所やシーンにワープさせられる、想像力をかき立てるような作り方を心がけています」
“耳で聴く読書”によってすそ野が広がるなどと好意的に受け入れる作家も増えていて、紙の書籍と同時に作品を配信したり、音声で先行して公開したりする動きもあるということです
奥特班克制作总部矶崎孝太先生表示:“通过为文字配上音频,我们能够对用户进行立体化的接触。仅仅播放音频,就能让人仿佛瞬间穿越到那个场所或场景,我们始终注重激发想象力的制作方式。”越来越多的作家也积极接受“用耳朵聆听阅读”这种方式,认为它能够拓宽受众范围。现在有的作品会与纸质书同步发布,也有的会先通过音频进行公开。
動画からテキストのコンテンツまで、スクリーン上で目を使う時間の奪い合いは日々、激化しています
从视频到文本内容,争夺屏幕上用户注意力的竞争日益激烈。
こうした中で、この会社では“耳のすきま時間”の獲得競争が今後さらに広がるとみて、配信する作品を増やしていきたいと言います
在这种情况下,该公司认为“争夺耳朵空闲时间”的竞争今后还会进一步加剧,因此希望增加发布的作品数量。
オトバンク 上田渉 会長
「もともと祖父が緑内障で、そういった人を助けたい、聴く文化を広げたいという思いで創業しました
奥托班克 上田渉 会长:“原本是因为我的祖父患有青光眼,我想帮助像他这样的人,也希望推广‘聆听文化’,因此创办了公司。”
目の
時間は
動画の
サービスも
多く
奪い合いのような
部分がありますが、
耳の
時間は
まだ開拓が
進んでいません
虽然“眼睛的时间”已经有很多视频服务在竞争,但“耳朵的时间”尚未被充分开发。
音声コンテンツの
市場自体も
どんどん拡大して
いくのではないかと
思いますし、
サービスの
普及に
努めていきたい」
誰もが発信“音声で学び”
一方で、“一般の人の声”だからこそ、リアルで魅力があるということに注目した音声メディアのサービスも始まっています
我认为音频内容市场本身也会不断扩大,希望能够致力于推广这项服务。如今,任何人都可以通过音频进行学习。另一方面,正因为是“普通人的声音”,所以具有真实感和吸引力,关注这一点的音频媒体服务也已经开始出现。
練馬区の小学校教師、二川佳祐さん
取材に訪れると、スマートフォンに向かって語りかけていました
「きょうの本題です学校の役割って考えたことありますか僕はもう17年間学校にいますけど、学校の果たす役割っていろいろあるなと思っています我已经在学校待了17年了,觉得学校起到的作用有很多。
そのうちの1つに伝統の継承というものがあると思っています」
二川さんは実は、およそ2000人のリスナーがいる人気のパーソナリティー
我认为其中之一就是传统的传承。」二川先生其实是一位拥有大约2000名听众的人气主持人。
現役教師として感じていることを日々ことばにして伝えています
2016年にサービスが始まったこの音声プラットホーム「Voicy」では、医師や僧侶、サラリーマンに主婦まで、さまざまな人たちが音声の配信を行っています
在2016年开始服务的这个音频平台“Voicy”上,从医生、僧侣、上班族到家庭主妇,各种各样的人都在进行音频内容的发布。
審査を通過した人のみが配信でき、1回あたりの配信時間は10分ほど
只有通过审核的人才能进行直播,每次直播时间大约为10分钟。
サービスの登録者数は年々増えて250万人を突破し、配信者のチャンネル数は2000以上に上ります
服务的注册用户数逐年增加,已突破250万人,主播频道数量也超过了2000个。
すでにおよそ600回配信していると言う二川さんはリスナーとともに教育界を盛り上げたいと語ります
二川先生表示,他已经进行了大约600次直播,并表示希望与听众一起振兴教育界。
小学校教師 二川佳祐さん
「いくらいい授業をしてもその先生が眉間にしわを寄せていたら僕はあまりハッピーではないと思います
无论老师的课上得多好,如果那位老师总是皱着眉头,我觉得我不会太开心。
先生たちを
勇気づけるとか、
みんなで
頑張ろうということを
届けたいです
し、
僕は
横で
一緒に
走っているような
感覚です」
ことし4月都内で行われた、教育関係の人気パーソナリティーが登壇したイベントには、およそ300人が集まりました
我想传达鼓励老师们、大家一起加油的心情,我自己也有种和大家并肩奔跑的感觉。今年四月,在东京都内举办的一场由教育界人气主持人登台的活动,吸引了大约300人参加。
その多くが教員で、中にはペンライトやうちわを手にする人もいるほどの熱狂ぶり
他们中很多是教师,甚至有人手里拿着荧光棒和扇子,表现出极大的热情。
二川さんも登壇し、不登校などのテーマについてリスナーと一緒に議論を展開しました
二川先生也登台,与听众一起就不登校等主题展开了讨论。
参加した教員
「教員としても学びが多いです
二川先生には、
生き方から
学校を
楽しむためのコツまで
教えてもらっています
二川老师不仅教会了我如何生活,还教会了我如何享受学校生活的秘诀。
朝の
通勤前に
音声を
公開してくださるので、
聴きながら
学校に
通っています」
「Voicy」の担当者は、サービスのニーズについて次のように話していました
因为会在早上上班前公开音频,所以我一边听一边去学校。Voicy的负责人这样谈到了该服务的需求。
Voicy 長谷部祐樹さん
「より身近で、少し頑張ったら追いつけるかもしれないとか目指せるかもしれないという方々の考えとか声を聴いてみたいというニーズがあるのだと思います
我认为人们有这样的需求:想要听听那些比自己更亲近、稍微努力一下也许就能赶上或者成为目标的人的想法和声音。
今後、
著名人に
限らず、
いろいろな
方が
声で
発信し、
自分を
届けて
いくということが、より
重要視されていくと
考えています」
“AI”など活用した音声も
最新のデジタル技術を使った音声コンテンツも登場しています
今后,不仅仅是知名人士,越来越多的人会通过声音发声,传达自我,这一点将变得更加重要。利用“AI”等最新数字技术的音频内容也已经出现。
書籍の朗読サービスを手がけるAudibleでは、ことし3月、俳優の黒柳徹子さんの自伝的な物語、「続 窓ぎわのトットちゃん」の配信を始めました
在提供有声书服务的Audible,今年3月开始上线了演员黑柳彻子的自传体故事《续窗边的小豆豆》。
全編を通してあの親しみのある黒柳さんの声で朗読されていますが、実は黒柳さんが実際に読んだのは第1章の1時間半余りのみ
整本书都是由那位熟悉的黑柳女士的声音朗读的,但实际上黑柳女士亲自朗读的只有第一章的大约一个半小时。
その後の第2章から5章までは、黒柳さんの監修のもと、最新の音声合成技術で再現されたデジタルナレーションだと言います
据说,接下来的第2章到第5章是在黑柳女士的监修下,采用最新的语音合成技术还原的数字解说。
黒柳さんは「技術の進化には本当に驚かされます
私の
戦時中の
体験をいちはやく
皆さんと
共有できることを
光栄に
思います」
などと
コメントしています
我感到非常荣幸能够尽早与大家分享我在战争时期的经历。
さらにGoogleはことし4月、AIによる要約などを行うサービス「NotebookLM」について、50以上の言語で「音声概要」という機能をリリース
此外,谷歌今年4月还在其AI摘要等服务“NotebookLM”中,推出了支持50多种语言的“语音概要”功能。
文章を読み込ませると、それらを要約しつつ、会話風にかけあう音声として聴くことができる機能が追加されました
当您导入文章后,新增了一个功能,可以在总结内容的同时,以对话形式收听为语音。
わずか数分で読み込んだ文章を元にしたラジオ番組のような音声コンテンツができてしまうというこのサービス
这个服务能够在短短几分钟内,根据所读取的文章制作出类似广播节目一样的音频内容。
「テキストの記事を読むのはちょっと大変、でも音声なら気軽に聴いてみたい…」と思っている人たちには便利なツールになっていきそうです
对于那些觉得“阅读文字文章有点吃力,但如果是音频的话就想轻松听听……”的人来说,这似乎会成为一个很方便的工具。
“音”だからこその魅力
動画や記事など目を使うサービスと同じように、耳を使うサービスも次々と誕生し、その中での時間の奪い合いが始まっています
正因为是“声音”,才有其独特的魅力。就像需要用眼睛的视频或文章等服务一样,利用耳朵的服务也在不断诞生,在这些服务之间,争夺用户时间的竞争已经开始。
若者のトレンドや背景に詳しい稲田豊史さんは、「今の若者は効果的に時間を使いたいタイパ=タイムパフォーマンスを求める人も多いです
对年轻人趋势和背景十分了解的稻田丰史先生表示:“现在的年轻人中,有很多人追求高效利用时间的‘タイパ’(时间绩效)。”
耳で
聴くという
部分については、
もっと有効に
時間を
使いたい
人たちの
心を
捉えているのではないか」と
話しています
关于“用耳朵聆听”这一部分,他表示,“或许正是抓住了那些想更有效利用时间的人的心”。
一方で、じっくりコンテンツに触れたいという人にとってもまた、音声メディアはぴったりだと指摘する専門家も
另一方面,也有专家指出,对于那些想要深入接触内容的人来说,音频媒体也非常合适。
「Screenless Media Lab
」のリサーチフェローを
務める、
塚越健司さんは「
映像に
比べて
音声は
長時間触れていても
ストレスが
少なく、
長く
聴けるので、
情報量や
理解力も
高まるし、
話し手のパーソナリティー・
人間性に
触れやすい」と
話しています
塚越健司先生担任“……”的研究员,他表示:“与影像相比,音频即使长时间接触也不太有压力,可以听很久,因此信息量和理解力都会提高,也更容易感受到说话者的个性和人性。”
ますます本格化する“耳のすきま時間”の獲得競争によって、今後どのようなサービスが生まれるのか
随着对“耳朵碎片时间”争夺的日益激烈,今后将会诞生哪些新的服务呢?
注目していきたいと思います
(取材: 科学文化部記者 堀川雄太郎 / 首都圏局ディレクター 磯貝健人)
(采访:科学文化部记者 堀川雄太郎 / 首都圈局导演 磯貝健人)