10
年前の2015
年「
関東・
東北豪雨」で
鬼怒川が
氾濫し、
大規模な
浸水被害にあった
茨城県常総市の
住民などが、
国の
河川管理が
不適切だったと
訴えた
裁判で、2
審の
東京高等裁判所は1
審に
続いて
国の
責任を
認め、
賠償を
命じました。
2015年の「関東・東北豪雨」では常総市で鬼怒川の堤防が決壊し、災害関連死を含めて茨城県内で16人が死亡したほか、住宅およそ1万棟が水につかり、被害にあった住民や遺族など31人は、「国の河川管理が不適切だった」として、国に3億5800万円あまりの賠償を求めました。
1審の水戸地方裁判所は原告のうち9人にあわせて3900万円あまりを賠償するよう国に命じ、双方が控訴していました。
2審の東京高等裁判所の中村也寸志 裁判長は判決で、越水の被害が出た若宮戸地区について、「実態として堤防の役割を果たしていた砂丘が掘削され、安全性が備わらない状態となった。国は砂丘を維持し、保全する必要があったが、しなかった」と指摘し、1審に続いて国の責任を認めました。
一方で、慰謝料などを見直し、原告9人に1審よりも少ないあわせて2800万円あまりを賠償するよう国に命じました。
また、堤防が決壊した上三坂地区については、「優先して堤防を整備しなかったことが不合理とはいえない」とし、1審に続いて訴えを退けました。
原告団 共同代表「国の賠償額が減額 1審よりも厳しい判決」
判決が言い渡されたあと、東京高等裁判所の前で原告団は「勝訴」と書かれた紙を掲げました。
取材陣に対し、原告団の共同代表の片倉一美さんは「1審と同じく一部勝訴したものの、国の賠償額が減額されてしまいました。1審よりも厳しい判決です」と話しました。
原告団「気持ちとしては敗訴」上告する考え
判決後、原告団と弁護士が都内で会見を開き、原告団の共同代表の片倉一美さんは「『勝訴』の旗を出したが、私の気持ちとしては敗訴だ。上三坂地区の賠償が認められず、なぜこうしたことを司法が認めるのか」と述べ、上告する考えを示しました。
原告団弁護士「国の責任を認める判決は画期的」
また、只野靖弁護士は「昨今相次ぐ水害の被害の中で、国の責任を認める判決は画期的で、一石を投じるものになった。国は、上告せずに責任を認め、今後は、同様の多くの被害者に賠償する枠組みをつくってほしい」と話していました。
国交省関東地方整備局「国の主張が一部認められなかったと認識」
国土交通省関東地方整備局の岩崎福久局長は「国の主張が一部認められなかったと認識している。判決内容を慎重に精査し、関係機関と協議の上、適切に対処していく」というコメントを出しました。