原発げんぱつ事故じこ 東電とうでん旧きゅう経営けいえい陣じんの責任せきにん認みとめず 1審しんと逆ぎゃくの判断はんだん 東京とうきょう高裁こうさい

東京とうきょう電力でんりょくの株主かぶぬしたちは、原発げんぱつ事故じこが起おきたのは安全あんぜん対策たいさくが不十分ふじゅうぶんだったためだとして、旧きゅう経営けいえい陣じん5人にんに対にたいし、被害ひがい者しゃへの補償ほしょうや廃はい炉ろ、除じょ染そめにかかった費用ひようなど23兆ちょう円えんあまりを会社かいしゃに賠償ばいしょうするよう求もとめています。

1審しんの東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょは元もと会長かいちょうら4人にんの賠償ばいしょう責任せきにんを認みとめ、国内こくないの裁判さいばんで最高さいこう額がくとみられるあわせて13兆ちょう3210億おく円えんの賠償ばいしょうを命めいじ、双方そうほうが控訴こうそしました。

▽株主かぶぬし側がわは、国くにの機関きかんが2002年ねんに地震じしんの予測よそくについてまとめた「長期ちょうき評価ひょうか」に基もとづき巨大きょだい津波つなみへの対策たいさくをとるべきだったと主張しゅちょうした一方いっぽう、▽旧きゅう経営けいえい陣じん側がわは「長期ちょうき評価ひょうかの信頼しんらい性せいは低ひくく、巨大きょだい津波つなみは予測よそくできず、対策たいさくをしても事故じこは防ふせげなかった」などとして責任せきにんはないと主張しゅちょうしました。

6日にちの判決はんけつで東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょの木き納おさめ敏和としかず裁判さいばん長ちょうは「『長期ちょうき評価ひょうか』は原発げんぱつの事業じぎょう者しゃとして尊重そんちょうすべきものではあるが、運転うんてんを停止ていしさせて津波つなみ対策たいさくを講こうじるほどの法的ほうてきな義務ぎむがあったとは必かならずしも言いえない。

原告げんこく側がわ “不当ふとう判決はんけつ”

判決はんけつのあと、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょ前まえでは原告げんこくと弁護士べんごしらが厳きびしい表情ひょうじょうで「不当ふとう判決はんけつ」と書かかれた紙かみを掲かかげました。

巨大きょだい津波つなみを“予測よそくできたか” “対策たいさく取とれたか” 大おおきな争点そうてんに

福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこについては、東京とうきょう電力でんりょくや旧きゅう経営けいえい陣じんそれに国くにの責任せきにんがさまざまな裁判さいばんで争あらそわれ、この中なかでは▽原発げんぱつを襲おそった巨大きょだい津波つなみの発生はっせいを事前じぜんに予測よそくできたかどうかと▽予見よけんした場合ばあいに事故じこを防ふせぐ対策たいさくを取とることができたかどうかという2点てんが大おおきな争点そうてんとなってきました。

このうち巨大きょだい津波つなみを予測よそくできたかどうかをめぐっては、事故じこの9年ねん前まえの2002年ねんに国くにの地震じしん調査ちょうさ研究けんきゅう推進すいしん本部ほんぶが公表こうひょうした地震じしん・津波つなみの『長期ちょうき評価ひょうか』の信頼しんらい性せいが判断はんだんのポイントになっています。

東京とうきょう電力でんりょくは、『長期ちょうき評価ひょうか』に基もとづき、福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつに最大さいだい15。

旧きゅう経営けいえい陣じんが強制きょうせい起訴きそされ、ことし3月つきに全員ぜんいんの無罪むざいが確定かくていした刑事けいじ裁判さいばんの最高裁さいこうさい決定けっていでは、『長期ちょうき評価ひょうか』の信頼しんらい性せいについて「巨大きょだい津波つなみの現実げんじつ的てきな可能かのう性せいを認識にんしきさせる情報じょうほうだったとまでは認みとめられない」として、旧きゅう経営けいえい陣じんは巨大きょだい津波つなみの現実げんじつ的てきな可能かのう性せいを認識にんしきしていたとは言いえないと認定にんていしています。

一方いっぽうで株主かぶぬしたちが起おこした今回こんかいの民事みんじ裁判さいばんの1審しん判決はんけつでは「自然しぜん現象げんしょうの予測よそくに過度かどの信頼しんらい性せいを求もとめると対策たいさくが不十分ふじゅうぶんとなり、原子力げんしりょく発電はつでん所しょの安全あんぜん性せいの確保かくほがはかれない事態じたいが生しょうじかねない」と指摘してきした上うえで、『長期ちょうき評価ひょうか』については「一定いっていのオーソライズがされた相応そうおうの科学かがく的てき信頼しんらい性せいを有ゆうする知見ちけん」だと認定にんていしました。