鹿児島県の
桜島で
火山灰を
広域に
降らせる大規模噴火が
予想された
場合、
周辺市町村への「
広域避難」を
含めた
対応を
事前に
求める避難計画の
案を、
県などで
作る協議会が
初めてまとめたことが
分かりました。
桜島では今後、20世紀以降で国内最大規模の噴火となった、1914年の大正噴火クラスの噴火が起きるおそれがあると指摘されていて、111年がたつことから、対策の重要性が増しています。
こうした中、県や周辺の市などで作る火山防災協議会が、大規模噴火が発生した場合の、各自治体の対応などを定める避難計画の案を、初めてまとめたことが、関係者への取材で分かりました。
計画案では、気象庁の噴火警報が対象としない火山灰などの火山現象への対応についても盛り込まれました。
大量の火山灰については、大正噴火では桜島で1メートル以上降り積もったことなどから、ライフラインの途絶や家屋の倒壊、道路の不通などが予想され「住民の生命に危険が生じる可能性がある」としています。
そのうえで噴火中または噴火後は、避難者が動けなくなって多数の滞留者が発生するおそれがあるとして「噴火前の事前避難を基本とする」としています。
さらに「状況に応じ周辺市町村に広域避難する」としていて、避難を実施する側はあらかじめ避難先を地域防災計画に定めるほか、周辺の市町村と協定を結んでおくことが望ましいなどと、広域避難を円滑に進めるための対策などを求めています。
桜島はほかの火山に比べ観測網が充実し、事前に噴火の予測がしやすいことも背景にあるとみられます。
桜島の火山活動に詳しい京都大学の井口正人名誉教授は「今後、広域避難を『する側』と『受け入れる側』との間で、調整がうまく進むことが期待できる。鹿児島県内で協力して対策を進めていく必要があると思う」と話していました。
避難計画は今後開かれる協議会の会合で正式決定する見通しです。