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南みなみアフリカ沿岸えんがんにおけるシャチの単独たんどく捕食ほしょく行動こうどう
南みなみアフリカ沿岸えんがんにおけるシャチの単独たんどく捕食ほしょく行動こうどう

南アフリカ沿岸において、シャチが単独でホホジロザメを捕食するという極めて稀な現象が観察されている。

従来、複数のシャチによる協力的な狩猟行動が一般的であったが、2017年以降、シャチが高い知能と社会性を駆使し、サメの肝臓のみを狙って短時間で仕留める事例が報告されている。

その結果、ケープタウン周辺の沿岸域ではサメの個体数が著しく減少し、海洋生態系のバランスに対する懸念が高まっている。

2023年、伊シエナ大学サメ研究センター所属の海洋生物学者プリモ・ミカレッリ博士らの研究チームは、「スターボード」と呼ばれる雄のシャチが、体長2.5メートルの若いホホジロザメをわずか2分足らずで仕留める様子を船上から観察し、その詳細を論文として発表した。

博士は「これらの捕食者の知性には畏敬の念を抱かざるを得ないが、沿岸生態系の均衡が崩れることへの懸念は増すばかりだ」と述べている。

従来、ホホジロザメを標的とする場合、2~6匹のシャチが協力して最大2時間かけて捕食する様子が観察されてきた。

しかし、スターボードの単独捕食は、従来の集団的な狩猟手法とは一線を画しており、南アフリカ・ローズ大学のアリソン・タウナー氏は、この行動がシャチの捕食戦略に関する画期的な洞察をもたらすものだと指摘している。

さらに、シャチによるこのような行動が、広範な海洋生態系力学に影響を及ぼす可能性も示唆された。

この出来事は、2023年6月18日、ケープタウンから東へ約400キロ離れたモーセル・ベイ沖のシール島近海で発生した。

研究者や観光客が乗る2隻の船舶が現場に到着して間もなく、1匹の若いホホジロザメが浮上し、スターボードがその左胸びれを捕らえ、数度の突進の後、わずか2分ほどで内臓を引き出した様子が記録された。

その後、スターボードが血に染まった桃色の肝臓を口にくわえている姿が撮影され、同じく雄の「ポート」と呼ばれる仲間も100メートルほど離れた場所で目撃されたが、狩りには関与しなかった。

これら2匹のシャチは、ナミビアまで及ぶ南ア東部の広範な海岸線を回遊していることが知られており、2015年頃からホホジロザメを標的とする行動が確認され始めた。

なお、2022年には複数のシャチによるホホジロザメ捕食の様子が初めて空撮されたという。

論文では、スターボードが単独で若いホホジロザメを仕留めることができたのは、相手が成体よりも小型であったことが要因の一つである可能性が指摘されている。

成体のホホジロザメは体長が最大6.5メートル、体重は2.5トンに達する。

今回の捕食行動の迅速さは、スターボードの高度な技量と効率性を示すものであり、狩猟に長時間を費やすことによるストレスを回避するための適応であるとも考えられる。

さらに、南アフリカ・ステレンボッシュ大学のサイモン・エルウェン博士は、シャチが新たな狩猟技術を自ら、あるいは他の個体から即座に学習できる能力を持つと説明し、南アフリカにおけるシャチの行動を観察・理解することが、この動物の生態に関する知見を深める上で極めて重要であると強調している。

このようなシャチの単独捕食行動は、今後の海洋生態系にどのような影響を及ぼすか、引き続き注視する必要があると言える。