高齢者の多くは、「人生の終末期には長く慣れ親しんだ場所で暮らしたい」と考える傾向がある。筆者は介護福祉士として、「大多数の高齢者が『今の自宅で生活し続けたい』または『入院や施設入所は避けたい』と述べる」としながら、そのような声が実際に高齢者本人から頻繁に聞かれることを明かす。親の独居生活が今後困難になることを心配する子どもが、親を呼び寄せて同居するケースもしばしば見受けられる。しかし、見知らぬ環境での生活は、近所に知り合いもおらず、閉塞的な気持ちを抱かせることも少なくない。一方、施設入所によって生活が変わり、家族の介護負担が軽減し、精神的な余裕が生まれ、親子の関係が良好になった例も存在する。どこで暮らすにせよ、重要なのは最期をどのように迎えるかという過程にほかならない。高齢者にとっての「終の棲家」を考えるならば、日々の安全・安心を重視するか、それとも自由を優先するかを考慮する必要がある。病院や施設に生活の拠点を移すことは、24時間見守り体制が整う安心感を得られる反面、共同生活の制約や経済的負担増加のリスクも伴う。結局、どちらの選択にも一長一短があり、本人と家族の状況と希望を十分に考慮した話し合いを経て導き出された結論こそが最適解である。高齢者自身が元気なうちに、自身の希望を家族や身近な人々にあらかじめ伝えておくことが、理想的な最期を迎える助けになるのではなかろうか。