一方、自民・公明両党の幹事長は「178万円を目指す」などとした国民民主党を含む3党の幹事長による合意は重いとして、引き続き、丁寧に協議していくことを確認しました。
国民 “850万円まで拡大”公明案 受け入れ困難
「年収103万円の壁」の見直しをめぐっては、先週、公明党が、自民党、国民民主党の3党の税制協議で、所得税の非課税枠を上乗せする年収の範囲を自民党案の500万円以下から850万円まで拡大する新たな案を示しました。
これを受けて、国民民主党は、25日朝、国会内で税制調査会の会合を開き、対応を協議しました。
この中で出席者からは「年収によって非課税枠に差をつけるのは不公平だ」とか「幅広い層の手取りの増加につながらない」といった意見が出されました。
そして、受け入れることは難しいとして、所得税の非課税枠の年収区分の撤廃や、ガソリン税の暫定税率の廃止時期を明らかにすることを引き続き求めていく方針を確認し、今後の対応を党の代表代行を務める古川税制調査会長に一任することを決めました。
会合のあと古川氏は記者団に対し「中間層も含めて幅広く手取りを増やしていくことが大事だ。こちらから協議を打ち切るつもりはないがもう1度、党の考え方を要望していきたい」と述べました。
自民 公明 “国民との合意は重い”「103万円の壁」協議継続
一方、自民党の森山幹事長と公明党の西田幹事長は、25日朝、東京都内で会談し、両党の国会対策委員長も同席しました。
この中では「年収103万円の壁」の見直しをめぐり、去年12月に国民民主党を含む3党の幹事長が「178万円を目指す」などと合意したことは重いとして、合意に盛り込まれているガソリン税の暫定税率の廃止を含め、引き続き、丁寧に協議していくことを確認しました。
そして、幹事長合意を踏まえて、国会で審議されている税制関連法案を修正し「178万円を目指す」という内容の文言を付則に明記する方針で一致しました。
会談では、ことし夏の参議院選挙などを見据え、30代前後の有権者の支持獲得に向けて、手取りを増やす政策や教育費の負担軽減などを検討するため、両党の若い世代の議員らを中心に政策を議論する場を設けることを確認しました。
自民党の森山幹事長は記者会見で国民民主党の榛葉幹事長が「年収103万円の壁」の見直しに関する公明党案を受け入れるのは難しいとの認識を示したことについて「国民民主党としての考えがあるのは当然のことで、論評することは差し控えたい。きょう3党の実務者による協議が行われると承知している。合意が得られるように努力を重ねていきたい」と述べました。
公明党の西田幹事長は記者会見で「『178万円を目指す』という3党の幹事長合意に向き合うため、税制関連法案を修正する際に『物価や賃金に応じて基礎控除のさらなる見直しを行う』との趣旨の文言を入れることを自民党と確認した。どのような決着であっても、幹事長合意を履行することについて、公明党は一切ぶれていない。達成されるまでは協議は続いていく」と述べました。
また、ガソリン税の暫定税率の廃止について「具体的にどのようなプロセスで廃止していくのか、与党として提示していく必要があり、きょうの税制協議でも議論してもらいたい」と述べました。
自民税調 公明案を了承
自民党税制調査会の幹部が25日午前、会合を開き、宮沢税制調査会長や森山幹事長、後藤・元経済再生担当大臣らが出席しました。
この中では「年収103万円の壁」の見直しをめぐり、所得税の非課税枠を上乗せする年収の範囲を自民党案の500万円以下から850万円まで拡大する公明党の新たな案について意見を交わし、了承しました。
自民党は、公明党、国民民主党と近く税制協議を行い「年収103万円の壁」の見直しや、ガソリン税の暫定税率の廃止をめぐって議論することにしています。