日本新聞: 「京アニ」放火事件から6年今日スタジオ跡地で追悼式

「京都きょうとアニメーション」のスタジオが放火ほうかされ、社員しゃいん36人さんじゅうろくにんが亡なくなり、32人さんじゅうににんが重軽傷じゅうけいしょうを負おった事件じけんから18日じゅうはちにちで6年ろくねんです。現場げんばのスタジオ跡地あとちでは、遺族いぞくや関係者かんけいしゃが参列さんれつして追悼式ついとうしきが行おこなわれます。遺族いぞくは「何年なんねんたっても娘むすめを失うしなった悲かなしみは変かわらない」などと話はなしています。

2019年にせんじゅうきゅうねん7月しちがつ18日じゅうはちにち、京都市きょうとし伏見区ふしみくにあった「京都きょうとアニメーション」の第1だいいちスタジオが放火ほうかされ、社員しゃいん36人さんじゅうろくにんが亡なくなり、32人さんじゅうににんが重軽傷じゅうけいしょうを負おいました。

殺人さつじんや放火ほうかなどの罪つみに問とわれた青葉あおば真司しんじ死刑囚しけいしゅう（47よんじゅうなな）は、2024年にせんにじゅうよねん1月いちがつに1審いっしんの京都地方裁判所きょうとちほうさいばんしょで死刑判決しけいはんけつを言渡いいわたされ、控訴こうそしていましたが、ことし1月いちがつに本人ほんにんが控訴こうそを取下とりさげたため、死刑しけいが確定かくていしました。一方いっぽう、死刑囚しけいしゅうの弁護士べんごしは、取下とりさげは無効">無効むこうだとして大阪高等裁判所おおさかこうとうさいばんしょに申入書もうしいれしょを提出ていしゅつしていて、裁判所さいばんしょがどう判断はんだんするかが焦点しょうてんとなっています。18日じゅうはちにち、現場げんばとなったスタジオ跡地あとちでは、発生時刻はっせいじこくの午前ごぜん10時半じゅうじはんすぎにあわせて追悼式ついとうしきが行おこなわれ、遺族いぞくや関係者かんけいしゃ150人余ひゃくごじゅうにんあまりが参列さんれつして亡なくなった社員しゃいんを悼いたむことにしています。会社かいしゃは混乱こんらんを避さけるため、一般いっぱんの人ひとに追悼式ついとうしきが行おこなわれる現場げんば周辺しゅうへんを訪おとずれないよう呼よびかけています。渡邊わたなべ美希子">美希子みきこさんの母親ははおや「何年なんねんたってもあの時ときのまま」事件じけんで亡なくなった渡邊わたなべ美希子みきこさん（当時とうじ35さんじゅうご）は、京都きょうとアニメーションで背景画はいけいがを担当たんとうし、人気にんきアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」など数々">数々かずかずの作品さくひんで美術監督びじゅつかんとくを務つとめました。事件じけんから6年ろくねんとなることについて、母親ははおやの達子たつこさんは「何年なんねんたっても気持きもちちはあの時ときのままのような気きがします。事件じけんに関かんするニュースが流ながれると、今いまも心こころが穏おだやかでない部分ぶぶんはありますが、自分じぶんの日常生活にちじょうせいかつをきちんと送おくっておかないと美希子みきこに怒おこられるので、頑張がんばろうと思おもっています」と現在げんざいの心境しんきょうを語かたりました。青葉あおば死刑囚しけいしゅう本人ほんにんが控訴こうそを取下とりさげて死刑しけいが確定かくていしたあと、弁護士べんごしが取下とりさげは無効むこうだとして、大阪高等裁判所おおさかこうとうさいばんしょに申入もうしいれを行おこなっている現状げんじょうについては、「裁判さいばんがどうなるのか、ちゃんと知しっておかないと、という思おもいはありますが、青葉あおば死刑囚しけいしゅうがどういう状況じょうきょうになろうと、美希子みきこは帰かえってこないし、私わたしの心こころに大おおきな変化へんかはありません」と話はなしていました。母親ははおやの達子たつこさんと兄あにの勇いさむさんは事件じけん後ご、犯罪被害者はんざいひがいしゃや遺族いぞくへの支援しえんの必要性ひつようせいなどを訴うったえる講演こうえんを全国各地ぜんこくかくちで行おこなっています。ことし5月ごがつからは、講演こうえんを聞きいた人ひとたちに、「サンキューレター」と名付なづけたメッセージカードを渡わたす取組とりくみを新あらたに始はじめました。カードを通つうじて身近みぢかな人ひとに感謝かんしゃの思おもいを伝つたえてほしいという2人ふたりの願ねがいが込こめられています。カードには手紙てがみも同封どうふうされていて、「もっと感謝かんしゃを伝つたえたかった。もっと一緒いっしょに過すごしたかった。でも、それはもう叶かないません。『ありがとう』はいつかではなく、今いま伝つたえてほしい。感謝かんしゃを伝つたえることで争あらそいのない温あたたかい社会しゃかいへとつながってほしい」とつづられています。勇いさむさんは「今いまは、もう美希子みきこに直接ちょくせつ何なにかを伝つたえることはできなくなってしまいましたが、もっと一緒いっしょにいたかったし、『何なんとかして帰かえってこられないか』と伝つたえたいです。そこはずっと諦あきらめきれない」としたうえで、「私わたしたちの講演こうえんなどをきっかけにして、大切たいせつな人ひとに気持きもちを伝つたえてほしい。そして、このような事件じけんが起おきない世の中よのなかになってほしいです」と話はなしていました。石田いしだ奈央美なおよしさんの母親ははおや「どうにもならない無力感むりょくかん」事件じけんで亡なくなったアニメーターの石田いしだ奈央美なおよしさん（当時とうじ49よんじゅうきゅう）は、京都きょうとアニメーションでキャラクターなどの色いろを決きめる「色彩設計しきさいせっけい」を担当たんとうしていました。人気にんきテレビアニメ「涼宮すずみやハルヒ」シリーズなど数多すうおおくの作品さくひんに関かかわり、映画えいが「聲こえの形かたち」ではヒロインが流ながす涙なみだの色いろを淡あわいピンク色いろで表現ひょうげんするなど、多おおくのファンを魅了みりょうしました。石田いしださんの母親ははおやは「娘むすめを亡なくしてからの6年間ろくねんかんはあっという間まで、何年なんねんたっても娘むすめを失うしなった悲かなしみは変かわらないと感かんじています。この1年いちねんのうちに、控訴こうその取下とりさげや、その無効むこうの申立もうしたてが行おこなわれましたが、刑けいが決きまるまでに何年なんねんかかるのでしょうか。私わたしが何なにを思おもい、何なにを言いっても、どうにもならない無力感むりょくかんを感かんじています。私わたしも高齢こうれいなので、せめて生いきているうちに決きまってほしいと思おもいます」と話はなしていました。男性だんせいアニメーターの父親ちちおや「悲かなしみ一生いっしょう背負せおっていく」事件じけんで亡なくなった男性だんせいアニメーターの高齢こうれいの父親ちちおやは「1審いっしんが終おわって、1つひとつの区切くぎりはつきましたが、息子むすこを失うしなった悲かなしみを一生いっしょう背負せおっていくことに変かわりはありません。失うしなったものが大おおきすぎて、今いまでも亡なくなった36人さんじゅうろくにんのことばかりを考かんがえてしまいます」と苦くるしい胸むねの内うちを語かたりました。また、青葉あおば死刑囚しけいしゅう本人ほんにんが控訴こうそを取下とりさげて死刑しけいが確定かくていしたあと、弁護士べんごしが取下とりさげは無効むこうだとして、大阪高等裁判所おおさかこうとうさいばんしょに申入もうしいれを行おこなっている現状げんじょうについては、「1審いっしんで死刑判決しけいはんけつが言渡いいわたされ、本人ほんにんも控訴こうそを取下とりさげたのだから、これ以上いじょうの動うごきは望のぞんでいません。遺族いぞくとしては、そっとしておいてほしい」としています。そのうえで、「息子むすこが生いきられなかった分ぶんまでしっかり生いきたい。自分じぶんたちのような悲かなしい思おもいをする遺族いぞくが二度にどと出でてこないことを祈いのるばかりです」と話はなしていました。司法しほう手続てつづきの現状げんじょう青葉あおば真司しんじ死刑囚しけいしゅうは、1審いっしんで死刑判決しけいはんけつを受うけたあと控訴こうそを取下とりさげましたが、弁護士べんごしが「取下とりさげは無効むこうだ」として、大阪高等裁判所おおさかこうとうさいばんしょに申入もうしいれを行おこないました。一方いっぽう、関係者かんけいしゃによりますと、大阪高等検察庁おおさかこうとうけんさつちょうも「取下とりさげは有効ゆうこうだ」とする意見書いけんしょを、ことし秋あきごろに提出ていしゅつすることにしています。取下とりさげが正常せいじょうな判断はんだんで行おこなわれたかどうかが争点そうてんとみられ、過去かこには取下とりさげが無効むこうと判断はんだんされ、裁判さいばんが再開さいかいしたケースもあり、高裁こうさいの判断はんだんが焦点しょうてんとなります。一方いっぽう、高裁こうさいの判断はんだんが出でても、弁護側べんごがわや検察側けんさつがわが不服ふふくを申立もうしたてれば、最高裁判所さいこうさいばんしょなどで審理しんりが続つづくことになり、最終的さいしゅうてきな結論けつろんが出でるまでは時間じかんがかかる見通みとおしです。

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