昔あるところに、長者がいた。長者には、一太郎、二郎という息子がいた。兄の一太郎は、いじわるで欲張り。弟の二郎は、兄思いの優しい男だった。
ある日、死を悟った長者は、枕元に二人を呼び、自分が死んだら家の財産は二人で分けるようにと言って死んでしまった。一太郎はさっさと葬式を済ませると、二郎に少しの種もみを渡し、庭の物置小屋を直して住むようにといい、二郎を追い出してしまった。
二郎は米作りに励み、秋には豊作となったが、大嵐で米はすべて流された。再び種もみを借りにきた二郎に、いじわるな一太郎は種もみにお湯をかけ、芽がでないようにしたものを渡し、来年できた米を返すように言う。
半年後、一太郎が二郎の様子を見に行くと、なんと夕顔の実が豊作となっていた。米を返す約束を破ったことに怒った一太郎は、二郎との縁を切って出て行ってしまった。
その後、二郎が夕顔の実を切ってみると、中から大量の米が出てきた。このおかげで、二郎は村一番の長者となり「夕顔長者」と呼ばれた。また、財産を食いつくした一太郎は、数年後にはすっかり貧乏になった。