昔、弥兵衛という大変世話好きの男がおりました。
どれぐらい世話好きかというと、
一晩とめた
旅の
商人が
忘れた
財布を
届けるために
三日も
追いかけて
渡すほどでした。
哪怕是为了把一个过夜的旅行商人遗忘的钱包送还给他,也会追赶三天。
こんな世話好きの
男ですから、
自然と
村人が
野良仕事の
帰りに
家によって
お茶をもらったりしてゆっくりして
行くようになりました。
由于是这样一个热心肠的男人,自然而然地,村民们在田间劳作归来的路上,会顺便到他家喝茶,慢慢地待上一会儿。
ある夏の
晩、
夜も
更けた
頃にみすぼらしい
身なりをした
旅の
老僧がやってきました。
一个夏天的晚上,夜深人静时,一位衣衫褴褛的旅僧来到了这里。
「
どうか
一晩、
土間でもいいので
泊めて
欲しい」という
老僧を
可哀想に
思った
弥兵衛は
風呂を
沸かして
老僧にすすめ、
妻を
起こして
料理を
振舞って
丁寧にもてなしました。
弥兵卫觉得这个老僧很可怜,他请求道:“请让我住一晚,哪怕是在地板上也行。”于是弥兵卫给老僧烧了热水洗澡,叫醒妻子做饭,热情招待了他。
次の
朝、
老僧は
旅立つ
時に
お礼にと
大切にしていた
古い
掛け
軸を
弥兵衛に
手渡しました。
次日早晨,老僧临行时将一幅珍藏的古老挂轴作为感谢赠予弥兵卫。
開けてみると
それは
美しい
観音様の
絵が
描かれていました。
夜、
祭りの
世話役の
寄り
合いをするため
村の
世話役が
弥兵衛の
家に
集まりました。
晚上,村里的负责人聚集在弥兵卫的家中,为祭典的事务进行商讨。
暑い
夜だったので
酒を
振舞った
弥兵衛でしたが、
自分たちが
飲む
前にと
観音様に
御酒をお
供えしました。
由于是个炎热的夜晚,弥兵卫摆上了酒,但在自己饮用之前,先向观音供奉了美酒。
しばらく経った
頃、
みんなお酒がまわってどんちゃん
騒ぎになりましたが、
ふと一人が
観音様のお
酒をみると
空になっています。
过了一段时间,大家都喝得尽兴,开始喧闹起来,忽然有个人看到观音大人的酒已经空了。
おかしいと
思って
注いだところ、
またしばらく経つと
空になっていました。
誰が
観音様の
お酒を
飲んだんだと
言い
合って、
観音様を
見てみると、なんと
観音様の
顔がほんのり
赤く
染まっていました。
(“是谁喝了观音的酒”争论不休,抬头一看,观音的脸颊竟然微微泛红了。)
「
観音様が
お酒を
飲まれたのか」
この話が
伝わって、
前より
多くの
人が
弥兵衛の
家に
集まるようになりました。
“观音大士喝酒了吗?”这个故事传开后,比以前更多的人聚集到弥兵卫的家。
「
きっと弥兵衛の
世話好きをみて
観音様も
お世話してもらいたい
気になったに
違いない」
村人は
そう言って、
このお
酒を
飲む
観音様をいつしか「
御酒観音(おみきかんのん)」と
呼ぶようになりました。
(“一定是因为观音大士看到了弥兵卫乐于助人的一面,才也想得到他的照顾吧。”村民们这么说,渐渐地把喝酒的观音大士称作“御酒观音”。)
また、
この御酒観音に
お酒をお
供えして
分けてもらうと
幸せになれるということです。
此外,据说如果向这位御酒观音供奉酒并分享,就能得到幸福。