警視庁が
今月から「
公安部」の
捜査員を
刑事部など他セクションの
業務に
従事させ、
捜査の
経験を
積ませる
新たな
取り組みを
始めることが、
捜査幹部などへの
取材でわかりました。
警视厅从本月开始将“公安部”的调查员调动到刑事部等其他部门从事工作,以积累调查经验。据对调查高层等的采访得知,这是一个新的尝试。
横浜市の会社社長らの起訴が取り消されたえん罪事件など公安警察の情報や証拠収集のあり方が問われる中で、捜査力の向上につなげるねらいがあります。
横滨市公司社长等被起诉的冤案事件中,公安警察的信息和证据收集方式受到质疑,目的是提高调查能力。
「公安警察」は警察組織の1部門で、テロ組織や過激派、外国スパイなどの動向を把握し、事件の未然防止のための対策や捜査を行います。
公安警察是警察组织的一个部门,负责掌握恐怖组织、极端分子、外国间谍等的动向,并采取措施和进行调查以预防事件的发生。
警視庁公安部は2020年、軍事転用が可能な精密機器を不正に輸出したとして横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の社長ら3人を逮捕しましたが、起訴後の検察の再捜査で機器が規制の対象にあたらない可能性があることがわかり、初公判の直前になって起訴が取り消されました。
2020年,东京都警视厅公安部以非法出口可用于军事用途的精密设备为由,逮捕了横滨市化学机械制造商“大川原化工机”的社长等三人,但在起诉后的检察机关重新调查中发现,该设备可能不属于管制对象,于是在首次公审前取消了起诉。
このえん罪事件では、公安警察の情報や証拠収集、立件に向けた判断のあり方などが問われることになりました。
这起冤罪事件中,公安警察的信息和证据收集、立案的判断方式等受到了质疑。
こうした中、警視庁が、公安部の若手捜査員を刑事部など他セクションの業務に従事させ、捜査経験を積ませる新たな取り組みを今月から始めることが、捜査幹部などへの取材でわかりました。
在这种情况下,据对调查负责人等的采访了解到,警视厅将从本月开始采取新的举措,让公安部的年轻调查员从事刑事部等其他部门的工作,以积累调查经验。
公安部では、逮捕や起訴に至る事件の数が限られているため、捜査経験を積みにくいことが課題になっていて、殺人事件や経済事件など他セクションで「場数」を踏ませることで、捜査力向上につなげるねらいがあるということです。
公安部由于逮捕和起诉的案件数量有限,难以积累调查经验,这是一个问题,因此通过在其他部门处理谋杀案和经济案件等积累经验,旨在提高调查能力。
今年度は警部補以下数人の若手を「併任」の形で他セクションに派遣することにしています。
本年度计划以“兼任”的形式派遣几名年轻警员(警部补以下)到其他部门。
このほか、従来は情報収集が中心だった警察署の公安係についても、容疑者の取り調べや防犯カメラの分析など本部事件の捜査の実務に加わらせることで、育成につなげる取り組みも始めているということです。
此外,据说警方已经开始采取措施,通过让传统上以信息收集为中心的警察署公安部门参与嫌疑犯的审讯和监控摄像头的分析等总部案件的实际调查工作,以此作为培养的一环。
専門家「経験を公安部全体が共有する姿勢がなくてはならない」
元警察庁キャリアで警視庁公安部で捜査指揮にあたった経験もある、京都産業大学の田村正博客員教授は、「大川原化工機」の社長らの起訴が取り消された事件について「証拠から推定される事実が当初の予定と違えば、従うべきであり、それを無視するようなら、捜査の基本が間違っている」と指摘しました。
专家指出:“必须具备全公安部共享经验的态度。”曾在警察厅担任要职并在警视厅公安部指挥调查的京都产业大学田村正博客座教授,就“大川原化工机”社长等被起诉取消一事指出:“如果从证据推测出的事实与最初的预期不同,就必须遵循。如果无视这一点,说明调查的基本原则是错误的。”
その上で「経験を積んで捜査の厳しさを知ることと、流動的な事態でどう判断するべきかを実感として知っていくことが大切だ。
在此基础上,“积累经验了解调查的严峻性,以及在流动的局势中如何判断的重要性,必须通过实际感受去了解。”
他セクションの
業務に
従事する
人に“
君たち学んできて”と
言うだけでなく、
その経験を
公安部全体が
組織として
共有していこうという
姿勢がなくてはならない」と
話しています。
“而不仅仅是对从事其他部门工作的人说‘你们去学习’,而是整个公安部作为一个组织应该有共享这些经验的态度。”
警視庁公安部の歴史と組織
全国で唯一、都道府県の警察本部に独立の部署として設置された、国内最大の公安警察の組織、それが「警視庁公安部」です。
警视厅公安部的历史与组织全国唯一在都道府县的警察本部中作为独立部门设立的国内最大的公安警察组织,那就是“警视厅公安部”
1957年、前身の「警備2部」から「公安部」に改称されました。
昭和の時代には、
▽過激派の学生ら数千人が暴動を起こして21歳の警察官が殺害された、1971年の「渋谷暴動事件」や、
▽武装した過激派のメンバーが長野県の山荘に人質をとって立てこもり、警察と10日間にわたる銃撃戦となって、多数の死傷者を出した、1972年の「あさま山荘事件」、
平成以降では、
▽オウム真理教による「地下鉄サリン事件」や、
▽1995年、当時の警察庁の國松孝次長官が銃撃され重傷を負った「長官狙撃事件」などの捜査にもあたりました。
在昭和时代,▽1971年“涩谷暴动事件”中,数千名激进派学生发动暴乱,导致21岁的警察官被杀;以及▽1972年“浅间山庄事件”,武装激进派成员在长野县的山庄挟持人质,与警方展开为期10天的枪战,造成多人死伤。平成以后,▽奥姆真理教制造的“地铁沙林事件”,以及▽1995年,当时的警察厅长官国松孝次遭枪击重伤的“长官狙击事件”等案件的调查。
警視庁公安部には、
▽中核派や革マル派などの過激派や右翼、特定の組織に属さず過激化したいわゆる「ローン・オフェンダー」の情報収集や捜査などを受け持つ「国内公安」と、
▽国際テロ組織、機密情報や先端技術をねらった他国によるスパイ活動、北朝鮮による拉致事件の捜査などを行う「外事」の、
2つの柱があります。
警视厅公安部有两个支柱,一个是负责收集和调查中核派、革马派等激进派和右翼,以及不属于特定组织而激进化的所谓“独狼”的信息的“国内公安”,另一个是负责国际恐怖组织、针对机密信息和尖端技术的他国间谍活动、以及调查朝鲜绑架事件的“外事”。
公表はされていませんが、重要インフラを狙ったサイバー攻撃などに対処する人員も含め、捜査員の数は1000人を超えるとされています。
尚未公开,但据称包括应对针对重要基础设施的网络攻击的人员在内,调查人员的数量已超过1000人。
独自の捜査手法 刑事部との“組織の壁”も
刑事部などの捜査が、犯罪をした人の検挙や組織の摘発を目指すものであるのに対し、公安部の捜査は、組織の動向を把握することによる事件やテロの未然防止、国益の確保などに主眼が置かれているといいます。
独特的调查手法 尽管刑事部与公安部之间存在“组织壁垒”,刑事部等的调查主要以逮捕犯罪人员和揭露组织为目标,而公安部的调查则重点在于通过掌握组织动向来预防事件和恐怖活动的发生,以及确保国家利益。
活動のほとんどが水面下で行われ、捜査対象の組織や関係先に「エス」などと呼ばれる協力者を獲得して動向を把握するなど、公安捜査員には情報収集のエキスパートとしての力量が求められる一方、刑事部などと比べて事件捜査を通じて経験を積める機会が少なく、育成に時間がかかるとも言われます。
大部分活动在水面下进行,公安调查员需要作为信息收集专家的能力,例如获取被调查组织和相关方的合作伙伴(被称为“线人”)以掌握动向。另一方面,与刑事部门等相比,通过案件调查积累经验的机会较少,因此也有人说培养需要时间。
他セクションとの人事的な交わりは少なく、過去には、同じ事件の捜査にあたる刑事部との壁や確執が指摘されたこともありました。
与其他部门的人事交流较少,过去曾被指出与负责调查同一案件的刑事部门之间存在隔阂和矛盾。